
1. インド最高裁が下した異例の命令
2025年8月11日、インド最高裁判所は首都ニューデリーで急増する野良犬によるかみつき被害を受け、市当局に数万匹の捕獲とシェルター設置を命じました。
特に子どもや高齢者への攻撃が都市部で相次ぎ、WHOによれば世界の狂犬病死者の3分の1以上がインドで発生しています。
2. 数字で見るインドの現状
- デリーの野良犬数:2012年の時点で約6万匹(現在はさらに増加推定)
- 2024年の被害報告:370万件以上のかみつき被害、54件の狂犬病疑い死亡例
- 推計値:実際には2倍近く、デリーだけで毎日約2000件の被害
これらの背景には、不妊手術プログラム不足や駆除に対する法的制約があります。
3. なぜ野良犬が多いのか?文化・歴史的背景
インドにおける野良犬の多さには、宗教観や文化が深く関わっています。
- ヒンドゥー教や仏教の影響
動物の命を奪うことを避ける宗教観が根強く、殺処分への抵抗が強い。 - 都市化とゴミ問題
急速な都市化に伴い、路上や市場に食べ残しが多く、野良犬の餌場となる。 - ペット文化の未成熟
飼い犬の避妊・去勢意識が低く、捨て犬がそのまま野良化。 - 行政の対応不足
犬の登録制度や所有者責任の法律が弱く、管理が行き届かない。
4. 狂犬病の脅威と世界の比較
- インド:年間数万人が狂犬病に感染し、死者数は世界最多。ワクチン接種率は地域差が大きい。
- 日本:1957年以降、国内発症ゼロ。犬の登録制度・狂犬病予防注射の義務化が徹底。
- 欧米:捕獲・譲渡・殺処分が制度化され、野良犬の繁殖を防止。
- アフリカ・東南アジア:インド同様、狂犬病の発生率が高い地域が多い。
5. 対策への道筋
最高裁は以下の施策を命じています。
- 8週間以内にシェルターを設置
- 捕獲犬の記録を日次で管理
- 24時間対応ヘルプラインの設置
- 狂犬病ワクチン接種可能な場所の公表
ただし、根本的な解決には文化的配慮を踏まえた長期戦略が必要です。
例えば…
- 大規模なTNR(捕獲・不妊手術・放逐)プログラム
- 学校や地域での動物管理教育
- NGOや国際機関との連携によるワクチン普及
6. まとめ
インドの野良犬問題は単なる動物管理の課題ではなく、文化・宗教・都市環境・公衆衛生が複雑に絡み合った社会問題です。
世界でも稀に見る規模の狂犬病リスクを抱えており、早急かつ持続的な対策が求められています。


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